優雅で美しく神秘的な姿から「猫界の貴族」と呼ばれるネベロング。
日本ではあまり知られていない猫種ですが、海外の人気ランキングでは常に上位に入るほど人気の猫種です。
キラキラと輝く絹のような被毛に、穏やかで優しい表情が魅力的なネベロングは、一体どのような性格や特徴を秘めているのでしょうか。
本記事ではネベロングのことを解説。色や体重を始め、飼う方法や飼い方の注意点まで詳しく見ていきましょう。
ネベロングの性格や子猫の頃の特徴について
ネベロングは大変おとなしい猫種です。
ロシアンブルーと同様「ボイスレスキャット」と呼ばれており、その声はとても静かだといわれています。
またロシアンブルーと共通点が多いことから『長毛のロシアンブルー』とも呼ばれています。
ここではそんなネベロングの性格や、子猫の頃の特徴について見ていきましょう。
忠誠心が強く、賢い性格
穏やかで飼い主に対し愛情深く、とても愛らしいネベロング。
飼い主をしっかりと見極め、まるで犬のように忠誠心を持って接してくる子が多いといわれています。
また飼い主のことが大好きで、常に傍にいたいと思っています。そのため、飼い主さんが動くと後をついて歩くように追いかけてきたりと、愛らしい一面を見せてくれますよ。
陽気で遊ぶことが大好き
落ち着きがあって物静かな性格をしていますが、その反面、活発で遊び好きな一面もあります。
特におもちゃなどで遊ぶことが大好きなので、毎日ネベロングと遊ぶ時間を設け、コミュニケーションを図ると喜びますよ。
人見知りで神経質な一面も
ネベロングは知能が高いためか、神経質で激しい人見知りをします。
そのため家族以外の人が来ると、必ずといっていいほど全速力で逃げ、遠くからジーっと様子を伺うほど。それだけ警戒心が強いのかもしれません。
またネベロングにとって小さなお子さんは苦手です。行動パターンが読めなかったり、一方的に触ってきたりするからです。
どちらかというと、子どもがいないご家庭向きといえるでしょう。
子猫の時の特徴
生まれた時はイエローが強めのグリーンの瞳をしていますが、成長に伴い綺麗なグリーンの瞳に変化してきます。
また子猫時代はそこまで被毛が長くありませんが、2年ほどかけてゆっくりと美しい被毛に成長していく姿はとても魅力的です。
特に1年くらい経った頃から、おなか周りがふわふわの柔らく長い被毛が生えそろってきますので、触ってみるとその手触りにうっとりすることでしょう。
子猫時代は短毛なので、ブラッシングはそこまで必要ないと思いますが、成猫になると被毛が長くなり、ブラッシングが必要不可欠となります。子猫のうちから定期的にブラッシングをし、慣れさせるようにしてくようにしましょう。
ネベロングの歴史と名前の由来
1984年、アメリカのコロラド州デンバーに暮らす女性「コーラコブ」氏は、短毛の黒いメス猫エルザを飼っていました。
ある日エルザは、アンゴラに似た長毛で黒猫のオスとの間に6匹の子猫を生みます。そして6匹のうちなぜか1匹だけ、美しく輝くブルーの毛色に、エメラルドのような美しい緑色の目をした長毛のオスの子猫がいたのです。
コーラ氏はその猫の姿を見て、中世のドイツの「ニーベルンゲンの歌」に登場する人物になぞらえ「ジークフリート(siegfried)」と名づけました。
そしてジークフリートが生まれてから5ヶ月後、親猫のエルザは別のブルーのオス猫との間に7匹の子猫を出産。その中の1匹もやはりジークフリートと同じ、ブルーのロングヘアーのメスの子猫が生まれました。
ジークフリートよりもやや淡い色をしたその子猫も、ニーベルンゲンの歌に登場する人物になぞらえ「ブリュンヒルド(Brunhilde)」と名づけられました。
1986年、コーラ氏は新しい品種を作出しようと考え、ジークフリートとブリュンヒルドを交配させ、最初のネベロングを作出しました。
その後さらに交配と品種改良を重ねた結果「長毛のロシアンブルー」と異名を持つ、美しい姿になったのです。
名前の由来について
ネベロング(nebel long)という名前には、2つの由来があるといわれています。
1つは、まるで霧がかかったようなブルーの毛色をしていることから、ドイツ語で「霧」という意味の「 nebel(ネベル)」に、英語で「長い」という意味の「long(ロング)」を表す言葉を合わせて付けられたという説があります。
ちなみに「long」は、被毛が長いからというだけではなく、足やしっぽもすらっと長かったことから表されているようです。
もう1つは、ネベロングを作出したブリーダーが愛読していたドイツの叙事詩「Nibelungenlied(ニーベルンゲンの歌)」に由来しているといわれています。
ネベロングの毛色や模様の種類
ネベロングの毛色は「ブルー」の一色のみが認められています。
また淡いブルーの被毛には、光のあたり具合によって色が微妙に変わる「ティッピング」が見られることがあります。
ネベロングの体重や大きさは?
筋肉質でがっちりとしていますが、見た目はスリムなセミフォーリンタイプです。
艶があり綿毛のようなふわふわでやわらかい被毛は、最大の魅力といえるでしょう。
成猫時の平均体重はオスで約5.0~6.0kg、メスで約3.0〜4.5kg、四肢としっぽは平均的な猫よりも長めといわれています。
ネベロングを飼うには?
ネベロンは日本では珍しい猫種なため、ペットショップや里親募集サイトなどではあまり出回っていません。そのため販売先としては、主にブリーダーとなります。
ただ国内での飼育頭数がかなり少なく、ネベロングを専門に扱っているブリーダーが現状いない状態です。
ですからネベロングを購入したい場合は、ロシアンブルーを扱っているブリーダーに相談してみる、もしくはアメリカをはじめとする海外のブリーダーに直接問い合わせするのがおすすめです。
しかし海外から輸入を考える場合、輸入する際の輸送費や諸費用が発生してくるため、倍の値段がかかってくることを念頭に入れておくとよいでしょう。
ネベロングを飼う上で気を付けるべきポイント
ネベロングの平均寿命は15~18年といわれています。
猫全体の平均寿命が15.66歳※1ですので、ネベロングは比較的長生きする猫種だということがわかります。なかには21年以上生きたネベロングもいるんですよ。
ただし環境や体質によって寿命は変わってきますので、日頃の健康管理には気を付けたいところ。
もしもネベロングをお迎えした場合、どのような点に気を付ければよいのでしょうか。
※1.一般社団法人ペットフード協会「令和3年 全国犬猫飼育実態調査」より
落ち着ける場所を準備しよう
少し神経質な一面があるネベロング。
家族以外の知らない人を見た瞬間、走って逃げてしまうほど臆病な一面を持っています。
騒がしいとストレスを抱えてしまう恐れがありますので、ネベロングの避難場所としてリラックスできる空間を作るようにしてください。
また食事する場所や、トイレの場所も落ち着ける環境に配置するのがとても大切です。
落ち着かない環境だと食事を取らなくなったり、トイレを我慢してしまう恐れがあるからです。
ネベロングをお迎えする際は、そういった細かな気配りも忘れないであげてくださいね。
日頃のケアが必要不可欠
ネベロングはキャットショーでも注目を浴びるほど、美しい被毛が特徴的な猫種です。
毛玉はできにくいものの、ダブルコートの被毛は抜けやすいので「抜け毛ケア」としてブラッシングはとても大切です。
なるべく1日に1回、もしくは週に数回程度、コミュニケーションを兼ねてブラッシングをしてあげてください。
体重管理と清潔な食事環境を
食欲旺盛なネベロングは、過食をしやすい猫種ともいわれています。
肥満にならないためにも、1日に必要な食事量を成長段階や活動量に応じて与えるようにしてください。
またネベロングは神経質なので、汚れた食器や古いキャットフードは食べないことがあります。
常に食器は清潔に、そしてフードやお水は清潔なものを与えるようにしましょう。
ネベロングに似ている猫種
ネベロングに似た猫種がいるのはご存じですか。
ここでは、ネベロングの雰囲気に似たかわいらしい猫種についてご紹介します。また、ネベロングとの違いについても見ていきましょう。
ラグドール
毛並みが美しいラグドール。
愛情深く、穏やかな性格をしており、誰に対しても友好的に接してくれます。
ネベロングとの違いは『体の大きさ』。
ネベロングのボディタイプはスマート体型が特徴の「フォーリン」タイプに分類されますが、ラグドールのボディタイプは胴体が長く、筋肉質でがっしり体型が特徴の「ロング&サブスタンシャル」に分類されます。
またネベロングの瞳の色はグリーンに対し、ラグドールはブルーの瞳をしています。体型や被毛で区別が難しい場合は、瞳の色を見てみるとよいですよ。

ブリティッシュショートヘア
全体的に丸みがあり、愛嬌たっぷりのブリティッシュショートヘア。
穏やかでとても賢い性格をしている猫種です。
被毛の色がネベロングと非常によく似ていますが、明らかな違いについては「被毛の長さ」です。
ネベロングは長毛種に対し、ブリティッシュショートヘアはその名の通り短毛種。見た目からもその違いがわかるかと思います。

ロシアンブルー
ブルーの美しい瞳に、絨毯のような柔らかい毛並みが特徴のロシアンブルー。
飼い主に忠実で、人懐っこい飼いやすい猫種といわれています。
ネベロングとの違いとしては「被毛の長さ」です。ネベロングは長毛に対し、ロシアンブルーは短毛です。
しかし、ロシアンブルーの中には毛の長い個体も存在するため、そうすると判別は極めて難しいといえます。
また一般的にはロシアンブルーよりもネベロングの方が体が大きいですが、個体差があるため体の大きさでも判断が難しいといえるでしょう。

まとめ
美しい被毛を持つネベロング。
飼い主に対し愛情深く従順なので、初めて猫を飼う人にもおすすめですよ。
ただ非常に寂しがり屋さんなので、長時間の留守番は苦手です。留守番が増えると不機嫌になったり、ストレスを溜め込んだりしてしまいますので注意が必要です。
そのためネベロングに寂しい思いをさせないためにも、日頃からたくさん触れ合って話しかけてあげるようにしてあげてくださいね。
まだまだ日本では馴染みのない猫種ネベロング。
その見た目の美しさと内面のかわいさは、きっと苦労してお迎えする価値のある猫種といえるでしょう。