子猫がミルクを飲まないのは?量や飲ませ方、いつまで必要かも

子猫はとてもデリケートなので、ミルクを飲まなくなることもあるでしょう。

しかし、ミルクを飲まなくなると必要な栄養が摂取できなくなるので、場合によっては命にかかわります。

本記事では、子猫の食事であるミルクについて解説していきます。

子猫がミルクを飲まない原因は?

子猫のミルク

子猫は食欲旺盛なので、基本的に与えられたら与えられたれただけミルクを飲んでくれますが、稀にミルクを飲んでくれないことがあります。

これには子猫なりの理由があるのですが、飼い主からすれば「なんで?」と不思議に思うでしょう。

では、どんな理由でミルクを飲まなくなってしまうのでしょうか。

排泄物がお腹に溜まっている

子猫がミルクを飲んでくれない場合、尿や便が溜まってお腹が張っているかもしれません。

排泄できていないと、お腹がいっぱいと勘違いしてミルクを飲んでくれないので、食事前にトイレで排泄させてあげましょう。

生後3週頃まで、子猫は自分の力だけでは十分に排泄することができないので、肛門を刺激して排泄をサポートしてあげる必要があります。

体温が低い

子猫は体温が低いと、ミルクを飲みたがらなくなります。

生後間もない子猫は体温の維持が苦手です。本来は母猫や兄弟猫と寄り添うことで体温を保つので、毛布やタオルで包んで保温してあげましょう。

湯たんぽやペット用のヒーターなど、低温やけどに注意しつつ暖房器具を使うのもおすすめです。

体調不良

当然ですが、体調不良になるとミルクを飲まなくなります。

生まれたばかりの子猫はとてもデリケートです。ちょっとしたことでもすぐに体調を崩すので、大袈裟なくらい丁寧に扱いましょう。

体調管理のために、毎日の授乳回数や量、体重や体調の変化を記録を取っておくと子猫の成長を正確に把握できるのでおすすめです。

ぐったりしている、口の中が乾いている、皮膚を引っ張ってもなかなか元に戻らない、といった状態は脱水症状の恐れがあります。

子猫の体調不良は、飼い主が考えている以上に危険な状態の場合があるので、急いで動物病院に連れて行きましょう。

ミルク自体や哺乳瓶に原因があることも

子猫にとって最適なミルクの温度は、38〜40℃です。低すぎても高すぎても飲まないので、しっかりと温度を計ってください。

また、ミルクを入れる哺乳瓶が原因で、飲まなくなることもあります。
生後間もない子猫は、哺乳瓶の吸口が口に入らなかったり、うまく吸い付くことができなかったりすることも。こうした場合、スポイトを使って数滴ずつ舌に垂らすと良いでしょう。

そのほか、ミルクの味が好みに合わなくても飲まないので、色々試してもダメなようならミルクの銘柄を変えてみるのも有効です。

吐き出してしまうときの対処法

まだ幼い頃は、一旦ミルクを飲んだとしても、吐き出してしまうことがあります。

子猫はミルクを飲むこともままならないため、正しい姿勢で少しずつ飲ませるようにしてください。一度に飲ませようとすると吐き出す原因になるので、ゆっくり時間をかけて、子猫のペースで飲ませてあげましょう。

また、哺乳瓶の吸口のサイズが合わないと吐気出す原因になるので、吸い口のサイズにも気を遣ってあげてください。

それでも飲んでくれないようなら、一度獣医師に相談してみましょう。生まれたばかりの子猫は、数時間ミルクを飲まないだけで低血糖になってしまうので、早めに対応してください。

ミルクの飲ませ方は?

生後間もない子猫は、自分でミルクを飲むことができません。準備から飲ませるところまで、基本的に飼い主がすべてやってあげる必要があります。

しかし、子猫はとても小さく弱々しいので、余程慣れていない限り不安に思うでしょう。
ここでは、安心して子猫にミルクを与えるために、正しいやり方を紹介します。

正しい姿勢と飲ませ方

子猫にミルクを飲ませる際は、うつ伏せ(お腹を下)にして頭を少し上に向け、哺乳瓶は逆さにして45度くらいの角度に構え、吸口を含ませてあげましょう。この際、空気を吸わせないようにしてください。

首を振ったりミルクが口から溢れたりしたらお腹いっぱいになっているので、口の周りをきれいに拭いて終わりにしましょう。

食後は、人間の赤ちゃんにするのと同様、優しく背中をさすってゲップをさせてあげてください。

与える際の注意点

子猫に与えるミルクは、作り置きせず食事の度に毎回その場で作って与えるようにしましょう。

与える際は子猫のペースに任せてください。飲まないからといって強引に飲ませようとすると、気管に入って肺炎になってしまうかもしれません。

また、子猫は食欲旺盛なので「もっと」と催促してくることもありますが、与えすぎは体調不良の原因になるので、食事の量は原則パッケージに記載されている内容を守ってください。

このほか、ミルクを吐き出したら一旦食事を中止して、少し時間を空けてから本来の量をもう一度与えるようにしましょう。

ミルクの作り方。気を付けること

子猫に与えるミルクは、私たちが考えている以上にさまざまな面で気を遣う必要があります。その1つが、作り方です。

ここでは、子猫用のミルクを作る際、気を付けたいポイントを解説します。

必要なもの

  • 子猫用ミルク
  • 哺乳瓶(子猫用)
  • 計量スプーン
  • お湯

作成手順

  1. ミルク用のお湯を一度煮沸させ、温度を60〜70℃くらいまで冷まします。
  2. 同時に哺乳瓶を熱湯で煮沸消毒します。
  3. 計量スプーンで計ったミルクと適量のお湯をを哺乳瓶に入れます。
  4. 蓋をして哺乳瓶をよく振って混ぜます。
  5. お湯と混ぜたミルクをさらに約38~40℃まで冷まします。
  6. フタを吸口に交換して、子猫に与えます。
ミルクを作る際の注意点
お湯もミルクも、量は正確に計測しましょう。

また、ミルクに使うお湯は、必ず一旦沸騰させてから60〜70℃まで冷ましましょう。熱すぎるとミルクの栄養が壊れ、逆に低すぎると溶けにくくなります。

飲ませるときは火傷させないようさらに冷まして、約38~40℃にしてから与えてください。

量や時間は?

子猫の日齢 ミルクの量と授乳回数
生後1~7日 5~10ccずつ1日に8~12回
生後8~14日 8~15ccずつ1日に4~8回
生後15~21日 欲しがるだけ与えてOK、1日に4~6回
生後22~30日 離乳食を与えてからミルクを与えます。ミルクは徐々に減らして離乳へ

子猫の哺乳期は生後1ヶ月頃までで、この時期は母乳か子猫用ミルクだけを与えることになります。与える量は上記表を参考にしてください。

ただし、与えるミルクの銘柄によって量が多少異なるため、パッケージに記載されている内容を守りましょう。

いつまであげればよい?

子猫は生後3週間ほどで乳歯が生えてミルク以外の物も食べられるようになるので、このタイミングで少しずつ食事を離乳食に切り替えてください。

ただし、ミルクから離乳食へ切り替える場合、いきなりミルクを止めて離乳食を食べさせるとお腹を下してしまうので、少しずつ切り替えていきましょう。
最初は、離乳食にミルクをかけると食べやすくなります。

少しずつ離乳食の比率を増やしミルクを減らしていき、離乳食をしっかり食べられるようになったらミルク卒業です。

卒乳までの目安は、離乳食を与え始めてから7~10日ほど。遅くとも生後2ヶ月頃には卒乳させましょう。

ミルクは栄養価が高い分、与え続けると肥満の原因になってしまいます。

ミルク以外で代用してもよい?

子猫にミルクを与えることができない状況も出てくるかもしれませんが、そんな時はどうすれば良いのでしょうか。

手近にある物で代用しようとする人も多いと思いますが、それは危険です。

ここでは、緊急事態でどうしてもミルクの代用となる物が必要となった場合。どんな物を与えれば良いのか、その作り方まで紹介します。

牛乳をそのまま与えるのはNG

子猫用ミルクの代用として、飲料用に販売されている牛乳を与えることもできます。
ただし乳糖が多く消化できない子猫もいるので、そのまま与えるのはNGです。

子猫の多くは、牛乳に含まれる【乳糖】という成分を分解する酵素を持たないため、消化できず下痢になってしまいます。「たかが下痢」と思うかもしれませんが、抵抗力や免疫力が出来上がっていない子猫にとっては命にかかわる大事です。

止むを得ず代用として与える場合は子猫用に加工・調整し、基本的には与えないようにしてください。

代用品①「卵黄入りの温めた牛乳」

ミルクの代替品として牛乳を与える場合は、子猫用に少し手を加えてください。

用意する物は以下の通りです。

  • 牛乳1カップ
  • 卵黄1個(卵白は取り除く)
  • 砂糖小さじ4杯

まずは牛乳を沸騰しないように弱火で温め、卵黄と砂糖を加えよく混ぜましょう。レンジで温めるのはNGです。

混ぜた終えたら40℃くらいまで冷まし、哺乳瓶やスポイトで少しずつ飲ませてください。

代用品②「砂糖水」

子猫用ミルクの代わりに、砂糖水を飲ませる方法もあります。

子猫がミルクを飲まないことで問題となるのは脱水と低血糖なので、代替策して砂糖水(ブドウ糖液)を飲ませることでこの2つの問題を回避できるのです。

作る際のポイントは、軽く甘みを感じる程度の薄さの砂糖水を人肌程度に温めるだけ。

砂糖水を与えなければならないようなら緊急事態であると思われるので、自分で飲み込めないほど体力が低下している場合は、口を湿らせる程度に少量ずつ垂らして与えましょう。

代用品③「無乳糖乳」

子猫用ミルクの代替品として、【無乳糖乳】を与えるのも良いでしょう。

無乳糖乳とは、文字通り乳糖がない牛乳です。乳糖はお腹を壊す原因となる成分で、これが含まれていないため、比較的安心して子猫に与えることができます。

スーパーやコンビニで市販されているので手軽に購入することができますが、【無脂肪(低脂肪)】と間違えないように、表記を良く読んで購入しましょう。

代用品を与える際の注意点

下痢に注意
牛乳などに含まれている乳糖という成分を猫に与えると、お腹を壊してしまう恐れがあります。子猫が下痢をすると、最悪命にかかわる恐れがるので、注意しましょう。

無乳糖や低乳糖の乳飲料も市販されているので、子猫に与える場合はそちらがおすすめです。
温度
子猫にミルクの代用品を与える際は、母猫の体温(=38℃)と同程度に温めるようにしましょう。これよりも冷たいと、身体を冷やして下痢をしてしまう原因になります。
あくまで緊急用として
代用品は、あくまでも脱水と低血糖の危険から子猫を守るための緊急用です。

子猫用のミルクや母乳と違い、子猫に必要な栄養素が摂取できるわけではないので、代用品を与えずに済むのならそれに越したことはありません。

余程切迫した状況でもない限り、なるべく早く子猫用のミルクを与えるか、獣医師に診察してもらってください。

まとめ

生後間もない子猫にとって、ミルクは栄養摂取のための大切な食事です。

与える期間は短いものの唯一の栄養源なので、ミルクを飲むことができないと命にかかわる大きな問題になりかねません。

今回の記事を参考に、与え方や気を付けるべきポイントを理解し、十分な栄養を与えてください。また、迅速な対応を求められる万が一のときに備え、子猫の命を守ってあげましょう。

診断コンテンツバナー