白猫には、ただ被毛の色が白いだけの白猫もいれば、先天的にメラニン色素が欠乏して生まれてくる【アルビノ】という個体も存在します。
アルビノは一見普通の白猫と区別がつきにくいものの、細胞を守る役割を担ったメラニン色素がないため、日常生活にもさまざまな問題がある個体です。
では、猫のアルビノは白猫と具体的にどのような違いがあるのでしょうか。
アルビノ猫って?特徴は?
ただの白猫と違い、先天的に問題を抱えて生まれてくるアルビノには、どのような特徴やリスクがあるのでしょうか。
ここでは、特徴的な見た目の美しさだけではない、アルビノが抱えている問題や身体的リスクを紹介します。
そもそもアルビノって何?
アルビノとは、肌や毛髪、瞳の色を作るメラニン色素が先天的に欠乏している遺伝子疾患です。色素が欠乏しているため全身が白もしくは著しく淡い色で、目は瞳孔が血液の色をしています。
アルビノは人間や猫を始め多くの動物に見られ、カラスや蛇、ハリネズミなどいろいろな種類の動物にも発症します。発症の確率は非常に低いものの、全身白の姿は自然界では非常に目立つため、アルビノの個体は生存するのが非常に困難です。
アルビノの特徴は?
メラニンには紫外線から細胞を守る役割があるため、メラニンが欠乏しているアルビノは紫外線に弱いという特徴があります。そのため、短時間であっても強い日差しに当たってしまうと、皮膚が火傷のようには赤く腫れあがってしまいかねません。
こうした過度な刺激を繰り返すと皮膚がんの発病リスクが高くなるので、日中の活動には注意が必要です。
アルビノの猫が生まれる理由は?
アルビノは個体数が少なく、猫のアルビノが生まれてくること自体が珍しいです。
猫には白い毛を持つ白猫が存在しますが、ただ毛が白いだけの白猫とメラニンが欠乏して生まれてくるアルビノの個体とは、完全に別の存在になります。
アルビノの個体に毛色の遺伝子は関係なく、突然変異でメラニン色素を持たない個体として生まれてくるのです。そのため、ブリーダーが意図して作出することはできません。
アルビノと白猫は違うの?
誤解されがちですが、『白猫=アルビノ』ではありません。
アルビノとはメラニン色素が欠乏した個体であって、ただ被毛が白いだけの猫とは明確に違うのです。
アルビノとは違う白変種
アルビノと混同されがちですが、猫にはメラニンは正常で被毛の色素のみ減少して白くなった【白変種】という個体が存在します。
先天的に遺伝子の異常を抱えるアルビノと違い、白変種の遺伝子は正常でメラニンが欠乏している訳ではなありません。
被毛を見る限りではアルビノとの違いは分かりませんが、目を見ればアルビノか白変種か区別することができるでしょう。アルビノは全身の色素がないので瞳が赤くなっていますが、白変種は被毛のみ白く目の色素に異常はないため、青や黒など通常の色が現れます。
どうして白猫が生まれるの?
猫には毛が白い白猫が存在しますが、アルビノであることは滅多にありません。
一般的に見かける白猫は、あくまでも白色遺伝子を有した、被毛が白い猫というだけで、メラニン色素は他の猫と同様に持っています。
白色遺伝子は優性遺伝子なので、父親と母親のどちらかが白猫の場合は子どもにも受け継がれる可能性が高いのです。
アルビノと白猫の見分け方は?
毛が白い猫とアルビノが違うといっても、双方とも同じ白い被毛をした猫であることに違いはありません。
では、どこを見れば普通の白猫とアルビノを見分けることができるのでしょうか。
目の色で見分ける
アルビノの個体には色素がないため、体表に色らしい色は現れません。
それは毛色だけでなく目にもいえることで、本来であれば猫の目は7種類のうちいずれかの色が現れるところ、アルビノには色素がないため血管が透けて赤く見えるのです。
そのため、アルビノは目の色が赤もしくは赤みのある青い目をしています。
模様の有無で見分ける
アルビノかどうか見分ける方法として、被毛の模様が1つの材料になります。
白色遺伝子を持つ子猫には【ゴーストマーキング】もしくは【キトンキャップ】と呼ばれる、薄い灰色の斑点が身体の一部に現れます。この色斑は生まれたばかりの白猫に出る模様で、成長するにつれ消えていくのですが、アルビノにはこれがありません。
つまり、この斑点がある時点でアルビノではないことが分かるのです。
アルビノの猫の飼い方は?
アルビノは、細胞を守る役割を担うメラニン色素が欠乏しているため、普通の猫に比べて健康リスクが高くなっています。そのため、日常生活でも相応の配慮が必要になります。
では、アルビノの猫を飼う場合、どのような点に注意すれば良いのでしょうか。
紫外線に気を付けてあげる
メラニンには紫外線から細胞を守る役割があります。そのため、メラニンが不足もしくは欠如しているアルビノは、長時間日光に当たったり短時間でも強い日差しに当たったりすると皮膚が炎症を起こしてしまうのです。
それだけでも決して無視できませんが、繰り返すと皮膚がんのリスクが高くなってしまいます。
そのため、アルビノにとっては日向ぼっこですら大きなリスクになりかねません。
外に出すことはもちろん、屋内であっても日光が当たらないように配慮して、窓には遮光カーテンをつけるなどの対策をしましょう。
視力にも注意
上述したように、アルビノは目の色素も薄く、視力が低い個体が多い傾向があります。
日頃から行動を観察してぶつかることが多かったりご飯が見えていないようなら、飼い主がしっかりとサポートをしてあげてください。
また、鳴き声をあげることが多いようなら、強いストレスを感じている可能性が高いので、原因を突き止めて可能な限り快適に過ごせるような環境を整えてあげましょう。
白猫のいる品種は?
白猫は被毛の色が白いだけなので、アルビノほど珍しくはありません。
では、白猫にはどのような猫種がいるのでしょうか。ここでは、白い被毛を持つ代表的な猫種を紹介します。
白猫の猫種①:カオマニー
カオマニーは、ハート形の頭とまっすぐで大きな耳をした、白一色の被毛が特徴的な短毛の猫種です。タイが原産で【ダイヤモンドアイ】や【タイの白い猫】と呼ばれ、世界中で多くの人々を魅了しています。
性格は好奇心旺盛でやんちゃな遊び好き。
家族であればほかのペットや小さな子どもと仲良くできるほど人懐っこく社交的で、なかには新聞を取ってきてくれるほどの賢さを持った子もいます。
白猫の猫種②:エキゾチックショートヘア
猫界のぶさかわといえるエキゾチックショートヘアは、まん丸な顔と目、太くて短い足と短いしっぽが特徴の、全体的に丸い猫です。
名前の通り短い被毛の猫種ですが、稀に長毛の個体が生まれることもあり、登録団体によっては「エキゾチックロングヘア」と呼ばれることもあります。
エキゾチックショートヘアの詳しい情報は、下記リンク先のページに掲載しているので、ぶさかわな魅力をもっと知りたいという方はぜひご覧ください。

白猫の猫種③:ペルシャ
ペルシャ猫は別名チンチラとも呼ばれる、最も古い歴史をもつ猫の1つです。美しく豪華な長毛が特徴で、欧米をはじめ世界中で愛され続けています。
とても穏やかで温厚な性格をしていますが、のんびり屋でマイペースな一面があるため、しつこく構われることを嫌う、猫らしい性格の猫といえるでしょう。
こちらのページでは、ペルシャ猫の歴史や毛色について詳しく掲載しています。ご覧になれば、最古の猫の魅力が分かりますよ。

白猫の猫種④:ターキッシュアンゴラ
ターキッシュアンゴラは目が特徴的な猫種で、少しつり上がったアーモンド形の大きな目は、色がとても豊富です。さらに、左右の虹彩の色が異なる【オッドアイ】や1つの目の中に2つの色が混在する【ダイクロイックアイ】という個体が存在します。
性格は自由奔放で繊細、気難しい一面を持っており束縛を嫌います。
反面、飼い主に対しては忠実で自分が気に入った1人に愛されることを好むため、多頭飼いや小さな子どもがいるご家庭には不向きでしょう。
ターキッシュアンゴラについてもっと詳しく知りたいという方は、下記リンク先の記事をご覧ください。大変希少な「トルコの生きる国宝」と呼ばれる魅力を余すことなく解説しています。

まとめ
アルビノは、先天的に遺伝子異常を抱えて生まれてくるとても珍しい存在です。
細胞を守るメラニン色素が欠乏しているので、健康面にさまざまな問題を抱えており、日常生活にも制限があるほど。
希少性の高さや独特な美しさはあるもの、それだけの理由で迎えるのは浅はかと言わざるを得ないでしょう。
アルビノの子を迎えるのであれば、今回の記事を参考に、どのようなリスクがあり日常的にどんなことを気を付けなければいけないのか十分理解したうえで、覚悟を決めて迎えてください。