猫は私たち人の4倍の早さで年を取るといわれていますが、何歳から「老猫」と呼ばれるようになるのでしょうか。
ここでは猫の平均寿命を始め、見た目の変化や老化のサインについて詳しく見ていきましょう。
猫の平均寿命って?
猫の平均寿命は年々上がっているのはご存知ですか。
一般社団法人日本ペットフード協会が発表している「令和2年 全国犬猫飼育実態調査」によると、猫の平均寿命は15.45歳。2011年の14.4歳よりも1.05歳伸びており、猫の平均寿命は年々長くなっていることがわかります。
また猫の寿命をオスとメスで比較すると、オスが13.7歳、メスが14.8歳とオスよりもメスの方が長生きする傾向にあるそうです。※1
理由としては諸説ありますが。メスよりもオスの方が外敵に晒されるリスクが高く、ケガなどによる原因で病気に感染し、死亡するケースが多いためといわれています。
さらに老化予防の効果がある「X染色体」は、オスよりもメスの方が1本多いそうです。そのため、メスはオスよりも老化が緩やかな傾向にあり、出産することで細胞が若返ると考えられていることから、オス猫よりも長生きする傾向にあるようです。
※1.アニコム家庭どうぶつ白書2017「どうぶつの疾患統計」より
品種ごとの平均寿命は?
猫はオスよりもメスの方が平均寿命が高い傾向にありましたが、品種ごとに違いは見られるのでしょうか。
平均寿命が高い傾向にある品種を見てみましょう。※2
順位 | 品種名 | 平均寿命 |
---|---|---|
1位 | 混血種 | 14.3歳 |
2位 | スコティッシュフォールド | 13.4歳 |
3位 | アメリカンショートヘア | 13.5歳 |
4位 | 日本猫 | 14.3歳 |
5位 | マンチカン | 11.2歳 |
6位 | ロシアンブルー | 13.1歳 |
7位 | ノルウェージャンフォレストキャット | 12.6歳 |
8位 | ペルシャ(チンチラ) | 13.9歳 |
9位 | メインクーン | 12.5歳 |
10位 | ラグドール | 13.5歳 |
※参照元:アニコム家庭どうぶつ白書2017「どうぶつの疾患統計」より
平均寿命が圧倒的に高いのは、「混血種」ということがわかりました。
混血種とは、野良猫に多い雑種やミックスが当てはまります。これらの猫は、さまざまな品種の遺伝子を受け継いでいることから、純血種特有の遺伝子疾患にかかりにくく、長生きする傾向にあるといわれています。
ただし、猫の体質や生活環境などによっても寿命は大きく変わるため、一概に「混血種は長生きで、純血種は短命」と言い切るのは難しいでしょう。
※2.順位は、アニコムで契約頭数の多い順となっています。
最高齢は?
世界最長寿記録として、2010年にギネス登録されている猫がいます。
その猫はアメリカのテキサス州オースティンに住んでいたメス猫の「クリーム・パフ(Creme Puff)」ちゃんです。
1967年に生まれ、年齢としては38歳と3日生きたといわれています。人間の年齢に換算すると約168歳という驚きの年齢です。
現在もギネス最高齢の猫として登録されています。
ちなみに日本で最長寿の猫は、青森県下北郡に住んでいたメス猫の「よもこ」ちゃん。1935年に生まれ、36歳まで生きたとされています。
しかし出生年の確たる証拠がないことから、ギネスなどの正式な記録には残せなかったそうです。
高齢猫はいつから?
猫は何歳から高齢猫(シニア猫)に該当するのでしょうか。
環境省が発表しているデータによると、以下のように分類されます。※3
●子猫期
⇒生まれてから生後6ヶ月まで
●青少年期
⇒生後7ヶ月~2歳
●成猫期
⇒3歳~6歳
●中年期
⇒7歳~10歳
●高齢期
⇒11歳~14歳
●後期高齢期
⇒15歳以上
中年期に入る7歳は、人間で換算すると約44歳の年齢であり、高齢期の11歳では約60歳といわれています。
私たち人の還暦は60歳ですので、11歳くらいを目安に高齢(シニア)と考えるとよいでしょう。
しかし人の60歳はまだまだ現役で働く人が多く、老化の兆候が見られるのは人それぞれ。それは猫も同じで、一概に年齢だけで判断することは難しいかもしれません。
あくまでも年齢は1つの目安であり、老化のサインと共に食生活や飼育環境を整えていくことが必要といえるでしょう。
※3.環境省「飼い主のためのペットフード・ガイドライン~犬・猫の健康を守るために~」より
特徴や見た目の変化は?老化のサイン
猫が高齢期に入ると、今までに見られなかったサインが出るようになってきます。
以下のようなサインが出始めたら、高齢猫の仲間入りといえそうです。
【食生活】
□食欲が低下した
□食べ物の嗜好が変わった
□好き嫌いがハッキリしだした
【身体の変化】
□爪がよく伸びる
□目ヤニがよく出る
□皮膚が垂れ下がっている
□被毛にハリ艶がなくなる
□太ももなど体全体が細くなった
□歯が黄ばむ、歯が抜ける、口臭がある
【普段の生活に変化】
□毛づくろいをしなくなる
□大きな声で鳴くようになる
□高い所に登らなくなる、着地に失敗する
□トイレ以外の場所で粗相するようになる
□ごはんとトイレ以外は寝ていることが多い
機能低下が始まる年齢に差し掛かっても、猫の見かけはあまり変わらないといわれています。しかし、歯にはいち早く変化が出始めますので、ぜひチェックしてみてください。
また、高齢になると筋肉の衰えから高い所に登れなくなったり、寝ることが多くなったりします。
さらに人と同じように猫も「認知症」があります。夜泣きや粗相などの症状を始め、これまで遊んでいたおもちゃに興味を示さなくなります。なかには飼い主を攻撃したり、物を破壊したりする行動に出る猫もいるようです。
猫によって老化現象はさまざまですので「今までと変わってきた?」と感じたら、かかりつけの動物病院に最適な介護方法などについて相談してみるとよいでしょう
長生きしてもらうためにできること
老猫になっても元気に過ごしてもらうためにはどうすればいいのでしょうか。
それは大きく分けて3つあります。
病気やケガの早期発見をするためにも、定期的な健康診断を受診することをおすすめします。
老猫は1年に3回程度の健康診断が理想とされていますので、かかりつけの動物病院に相談しながら健康診断を受けるようにしましょう。
それ以外にもトイレ環境の改善やお手入れ方法など、老猫に長生きしてもらうためにすることはたくさんあります。
下記のリンク先で詳しく解説しているので、こちらも参考にしてみてくださいね。

まとめ
現代の日本は高齢化社会といわれていますが、猫も高齢化が進んでいます。
愛猫の高齢期を健康で幸せな生活にするためにも、愛猫の変化を見逃さず、少しでも「おかしいな」と感じたら、かかりつけの動物病院に相談するようにしてください。
また現在、高齢猫のための便利な介護グッズやサービスなども多く展開されています。これらもぜひチェックしてみてくださいね。